2020年8月13日

ECのコスト構造について

(note版より加筆、詳細化)
 

 いろいろなEC事業の責任者経験や支援の経験から、EC事業を検討している方、開始後に検証している方から、ECに関して全部が全部詳しいだろうということで、丸投げ的な質問をよくされます。特にいまだにECがうまくいくか、自社のやっていることが正しいのかということが。その一つとして、コスト構造について知りたがる経営企画などのスタッフ部門が多いです。「長くやってきているのだからECのコスト構造に詳しいですよね。どういうコスト比率で計画すればよいのですか。」といったことです。

 そこで、私が答えるのは、「ECというのは、(路面店)というくらい大きな概念です。田舎の駅前の牛乳屋さんも路面店、年間売上2000億円以上の新宿伊勢丹も路面店です。同じコスト構造のはずないですよね。御社の事業にあわせてコスト配分を行い、利益が出る体制を組みましょう。」と。

 実際、どうしてもということで、以前いた会社の経費の比率をある会社のEC事業に適応してみたことがあります。結果、利益はゼロ。以前の会社は高い利益を出していましたが、ご要望のあった会社では同じように行うとゼロになるのです。

 これには、いくつもの要因があります。例えば、
 
・商品カテゴリー(食品とアパレルでは原価、利益構造は違います。)

・自社製造なのか、仕入なのか。
 
・既存ビジネスがあるかないか(店舗ビジネスであれば基本利益率は低いはずです)。
 
・ビジネス規模(売上の桁が違うと、コスト構造は違ってくると言ってよいでしょう。)
 
・成長のステージ(立上げ直後か、ある程度時間が経ってからか、など)
 
・既存ビジネスとの関係、共存のさせ方で(あわせてビジネスを行うのであれば、単独での利益やコスト構造とは違ってきます)。
 
・会社の強み(バリュー)は何か。(接客が強みの会社と低価格が強みの会社では当然違ってきます。)
 
*最終的には、どこまで本気で取り組むかということが一番の要因になることがあります(本気度が高ければ、少し利益率が低くても厳格に維持できうまくいくこともあります)。この辺までいくと、単にコストのお話ではなくなり、取り組み方体制、戦略などをきっちりと検討していくしかないのです。
 
 今までいた会社、お手伝いしてきた会社のほぼすべてで、同じようなやり取りがあり、ある程度時間をかけて解決することになっています。

 皆さん、既存事業のなかで行う新規案件と同じレベルで構造を把握して、安心したいのでしょうが、新しい取り組みは、ちゃんと自分の頭で考え、ある程度リスクをとらないと、うまくいくわけがありません。上記の項目がほとんど同じような会社が同業であればかなり参考にはできると思いますが、そのまま使えない場合が結果的には多いと言えます。
 

 
 私は複数の業態の違う会社でEC・オムニチャネル事業を行ってきましたし、いろいろな会社の支援もしてきましたので、ある程度の勘所で、ヒアリングさえできれば想定できるコスト構造や重点投下すべき費用などを大体ご提示できると考えています。(安易にコスト構造はこうですという支援は、ほぼぼぼ間違っている思っていいのではないでしょうか。)
 
 どれも即答できるものではありませんが、まずはお気軽にご相談いただければ、ヒントになるようなところからお話を始められるのではと思います。