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メディアに掲載のコラムの一番最初の原稿を掲載: インプレス ネット担当者フォーラム「EC部長が担当者に読んでもらいたいこと」2017/8/30   (連載第1回)EC部長が担当者に読んでもらいたいこと~はじめに の大元原稿

インプレス ネット担当者フォーラム「EC部長が担当者に読んでもらいたいこと」2017/8/30   (連載第1回)EC部長が担当者に読んでもらいたいこと~はじめに

の大元原稿です。

どこかに掲載してもらうコラムなどは、私の文章が長いこともあり、編集の方にずいぶん削られたり、読みやすくしてもらっています。それをあえて、大元のラフ原稿を掲載してみます。かなり、違うこと、そして、こんなに削られていたのか、編集さんは大変だっただろうなというのがわかると思いますが、情報量や気づきのための内容はとても豊富だと思います。

(本投稿は、日付はコラム掲載日の数日後にしていますが、実際の投稿は2025年1月26日です)


原稿本文

-1 はじめに

あなたの上司のEC部長はどんなひとですか。あなたはどんなEC担当者ですか。上を向いて仕事をしてほしいというわけではないですが、自分がどうあるべきか、どう期待されているかを考えていくことは悪いことではありません。EC業務に就いて、ちょっと仕事に自信がついてきた。が、担当以外の業務はよくわからないし、担当の仕事のやり方・レベルが他社のやっていること、業界標準に達しているか自信がないいう方は多いと思います。

ECって、もうちょっと洗練された仕事だと思っていたけど、かなり地味で、運用作業が多いなんて。そうです、ECも本質は以前からある仕事、特に小売的などの業務とは大きくは変わらないのです。システムや仕組みとのかかわりが強いので、さらに細かい作業やめんどくさいことが多いのです。要はそれを何のために、どうやってやるか、そしてどうなるかということが、わかっていれば、やらされていたと感じていた仕事が、本当に自分の仕事になっていき、面白みが増え、単なるアシスタントや担当者の枠を超えて、働いていくことができるのです。本連載は、そんなことの手助けになれるのであればと考えています。

 

本連載の目的

本連載は、EC担当者に知ってもらいたい考え方を中心に、スキルの解説、トピックスを織り交ぜながら、進めていきます。筆者が、トイザらス、ショップチャンネル、三越伊勢丹他の会社でWEB部長やいわゆるEC部長として過ごした約20年の間に、スタッフに身に着けてほしい、また、言わなくてもわかってほしいと思っていたことを書いていきます。

本連載を読むことで。読者であるEC担当者は、ある程度体系だった知識が身に付き、個々の業務ではなく全体像がわかるようになると考えています。結果、視野が広がることにより、ご自身の担当業務の考え方の確認や、担当以外の業務の概要や、やるべきこと、やった方がいいことがわかるように、また、上司から指示された業務の優先順位が理解できるようになると考えています。

 

想定の読者

読者の想定は、EC専業というよりは、実店舗小売や通販等の既存ビジネスを持ちECを始めた会社の担当者です。また、楽天などのオンラインモール店というよりも、独自ドメイン店(自社店)の担当者です。業務の経験度からいうとECの何かの担当になって、2~3年からマネジャーの手前までです。

もちろん、EC専業の方にもモール店の方にも役に立つ内容はありますが、表現が独自ドメイン店向けとなっていますので、ご了承ください。また、これからEC担当となる方やまだ日の浅い方にも役に立つ内容にもなってはいます。マネジャーといってもECビジネス全体を見ていない方にも有効です。

連載を読み進めながらも、頭でっかちとならず、目的を踏まえ、まずは目の前の業務をたくさんこなして、現場感を持ちながら、手際が良く、不確定案件、新しいことにも的確に対処できる担当者になることが、EC部長の求めるEC担当者です。

 

使い方

まずは、1回1回の連載の全体を読み、考え方を理解してください。なぜ、上司が自分に言ってくることの意味や、なぜこんなことをやらなくてはならないのかが見えてくると幸いです。また、自分の担当でないところもちゃんと読んでください。ECというのは、会社の中の1ファンクションというよりビジネスそのものです。1担当のときはその役割をどう回すかがポイントですが、ECビジネス全体のために何をどうすればよいかを考えていくことが、現在の担当業務のレベルをあげ、さらに、役割拡大となっていくはずです。特に、前工程後工程の業務を知ることは、速やかな運用、成果の向上に大いに役立ちます。

 

連載の大きな構成としては、

a.    はじめに、全体について

b.    ECを行うにあたってやらなくてはならないこと。

c.    ECを行うにあたってやったほうがよいこと。

d.    ECを行うにあたってその先

e. その他(分析などなど)

をイメージしていますが、まずはa-cまでがひと区切りとなります。d以降は、皆さんのニーズ次第です。

通常の教科書や連載は、内容をファンクションごとに分けていることが多いです。今回の構成にした理由は、基本的な運用ができていない、基本的な受け皿ができていないのに、やたらWeb広告、新しいツール導入、SNS、オウンドメディア等をやりたがる担当、上司が多く、その結果、オムニチャンネルやECはうちではうまくいかないと誤解している人が多いからです。

また、「やるべきこと」が十分でない段階では、「やったほうがよいこと」をやる労力・リソースと同じ量を「やるべきこと」に注いだほうが、売上も集客も満足度もはるかに上がります。なぜなら、(少なくても初期の段階は)もともと「やるべきこと」で生み出される売上などのほうが、「やったほうがよいこと」のほうが圧倒的に大きいので、その大きい部分の整備、改善、改良を行うほうが結果としてアウトプットが大きいのです。

 

とはいえ、何らかの新しいことは様々な理由で行わざるを得ませんし、将来の展開のためにやった方がよいことも多いです。その際には、リソースの5%とか10%と決めて行うことをお勧めします。これは、担当者というよりは、事業責任者であるEC部長が決めることです。

 

「はじめに」の最後として、まだよくわかっていないこと、自信のないことばかりでも、大丈夫です。ECビジネスは、まだまだ、歴史の浅いビジネスです。他のバリバリやっているような方も、それほどわかっていない場合も多いのです。なので、新しい業務も3か月真剣に取り組めば、遅い人でも6か月真面目に取り組めば、本人に自信がなくても、わりと、世の中の一般的なレベルに達していきます。まだ新しい業界です。詳しい人のいない業務を自分の力で楽しんでいきましょう。

 

I-2. 本連載でのECの考え方・EC業務の前提として踏まえておいてほしいこと

本連載では、経産省の白書でも利用されているOECD(経済協力開発機構)の狭義電子商取引(EC)の定義の中でのB2C部分をECと考えて執筆しています。

ちなみに。売上100億円以上のECサイトがいくつあるのでしょう? 実は、まだ、60社くらいです。売上上位を見ていると、トップは断トツでアマゾンですが、他のネット専業は、数社爽快ドラッグ、楽天ブックス、ZOZOなどくらいしかありません。その他は、カタログ、テレビなどの通販会社のサイト、量販店などの実店舗を持つ会社のサイトです。これは、何を意味しているかというと、やはりオンラインだけECを行うより、既存のビジネス、媒体をテコにECをやることの方が売上が大きくなっているということですね。従来の小売店、通販はうまくいっていないといわれていますが、逆に従来の小売店、通販の会社のECの方がうまくいっているといえるかもしれません。ただ、本業の業績をECがカバーできているかは別です。ここしばらく、いくつものEC専業会社がリアル店舗の会社とイベント開いたり、協業をしたり、さらに実店舗を開こうとしていまし、今後も続くでしょう。これは、既存のリアルビジネスを持っている会社の方が、ECを始めれば本当は強いと言えるのかもしれません。昨今各社で言われているオムニチャンネルの失敗について、筆者は失敗しているとは思っていません。成功までの過渡期にいるだけなのに、しびれを切らして、失敗だと言い放っているだけだと。そして、小売業にとってオムニチャンネルをやめることなどできません。仮に、ある小売チェーンが、現在の品ぞろえと顧客だけをイメージして、0からビジネスを立ち上げるとしたら、実店舗はたぶん作るでしょうし、もちろん紙媒体、WEB、ネット販売は準備しますし、在庫の一元管理、顧客情報の一元管理をしようと考えます。そうです、オムニチャンネルは小売そのものなのです。今まで、店や紙媒体のビジネスをしていて、ECや在庫の統合などを後から付け足していくということを考えてしまうので、それをClick & Mortalだとか、O2Oだとか、オムニチャンネルといってしまうのです。現在は、小売をやるうえでは、EC、オムニチャンネルは避けて通れないのです。

国内EC市場の成長は約8%。トップランキングの企業のEC成長率の平均も約8%です。新規参入がいまだに多く、参入後数年は数十%の成長をしている企業があるのに、全体で8%ということは、成長が8%に満たないところがいかに多いかということです。一時の急成長の幻想を捨てて、現実のECビジネスに向き合う段階です。また、新しい施策、ソリューションなどを追加でやれば単純に急成長するということもなくなっています。したがって、EC担当者の実力、努力によって、成長を作っていく段階になったと考えられます。業務の精度を上げて、一つ一つの成功させていくことが大切です。そのためには、一人ひとりの担当者の理解を深め、レベルを上げていくことが必要です。こういったベースがあってこそ、新しいソリューション、施策が結果を出せ、また、成長の踊り場で次のステージの成長への方策を実現できるのです。

 

企業内におけるECの位置付けなど

対象者のところで書いたように、本連載は、既存の事業を持っていて、ECを始めたり、オムニチャンネルへシフトを行っている会社のEC担当者を想定しています。ということは、会社全体になかに、ECを行う部署があったり、チームがあったり、関連する人たちがいます。それぞれの会社でECをどのように考えているかで、非常に大きく変わってくるのです。

先に書いたようにオムニチャンネルを小売そのものと考えている会社は、まだ、あまりないので、その考えでは記載しないとして、会社がECへ何を期待しているか、ECは新規事業なのか新規ビジネスなのかなどが位置づけにあたります。まだ、多くの会社は、EC部門を1つの店舗と考えていたり、でも、期待していることはマーケティングの一部だったり、あいまいなところが多いのが実情です。

(本連載では、新規事業と新規ビジネスを別の意味で使っています。新規事業はP/L(収益)責任を持つもの、新規ビジネスは、他の事業にもオーバーラップする部分を多く持ち、一連の業務の塊のオペレーションを見做しの事業のようにおいているものです)

まず、よくある事業としての定義に関してですが、便宜的に、ECを新チャンネル(新市場)と考えるか、ECで売る商品を何にするか。ECにかかわらず、新規事業を行う際によく議論に使われる、2×2のマトリックスで示される既存市場、新規市場、既存商品、新規商品を見てください。(これはあとでも、MDの考え方、集客の仕方、サイトの作り方に大きく影響してきます)

  

通常の新規事業や事業拡大は、既存商品の新規市場投入、もしくは、新規商品の既存市場投入です。新規商品を新規市場に投入するのは、いままでのリソース、経験を全く利用することができないので、リスクが高く、また、大規模資金投入で解決することが多い「力わざ(ちからわざ)」といわれています。ECを新規チャンネル=新規市場ととらえると、これまで既存ビジネスで扱ってきた商品をECで販売することが定石となります。

ここに書いたことと少し矛盾しますが、筆者はECを新規チャンネルや新規事業とは考えていません。顧客との新しいタッチポイント(コンタクトポイント)と考えています。ECやオムニチャンネルだけで収益を考えたりするのではなく、既存ビジネスを含めた全体での成果を見ていくべきということです。今後、連載の中で、必要に応じて説明をしていきます。

 

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