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メディアに掲載のコラムの一番最初の原稿を掲載: インプレス ネット担当者フォーラム「EC部長が担当者に読んでもらいたいこと」2017/9/20 (連載第2回)EC部長が担当者に読んでもらいたいこと~あなたの会社はどのタイプ? 社内におけるECの位置付け、組織、役割について の大元原稿

インプレス ネット担当者フォーラム「EC部長が担当者に読んでもらいたいこと」2017/9/20   (連載第2回)あなたの会社はどのタイプ? 社内におけるECの位置付け、組織、役割について の大元原稿です。

どこかに掲載してもらうコラムなどは、私の文章が長いこともあり、編集の方にずいぶん削られたり、読みやすくしてもらっています。それをあえて、大元のラフ原稿を掲載してみます。かなり、違うこと、そして、こんなに削られていたのか、編集さんは大変だっただろうなというのがわかると思いますが、情報量や気づきのための内容はとても豊富だと思います。

(本投稿は、日付はコラム掲載日の数日後にしていますが、実際の投稿は2025年1月28日です)



Ⅰ-2.ECを行う企業の組織およびEC部門内の組織、役割分担

全社の中のEC組織

対象者のところで書いたように、本連載は、既存の事業を持っていて、ECを始めたり、オムニチャンネルへシフトを行っている会社のEC担当者を想定しています。ということは、会社全体になかに、ECを行う部署があったり、チームがあったり、関連する人たちがいます。それぞれの会社で「ECをどのように考えているか」で、非常に大きく変わってくるのです。そして、既存の事業を持っていて、ECを始めたり、オムニチャンネルへシフトを行っている会社のEC組織ですが、段階で、下記のようなイメージ、種類が考えられます。

 

立ち上がり期

 


 

立ち上がり期は、まだ、どうなるかわからず、腰が引けて始めることが多いです。また、トップの意向(または危機感)と現場に大きな差があることも多々あります。その場合、一番左の「準備室型」「スタッフ型」の上の部分、トップ直属の「準備室型」で始められる場合が多いです。その特徴としては、少人数。長所としては、売上予算にかかわらず活動することが可能、トップの意向を知りやすいことなど。短所としては、現場のリソースをもっていないこと。

「スタッフ型」としては、部門内にあるのですが、ラインではなく、企画担当や推進担当としてのスタッフの位置づけで。長所としては、部門長がその気であれば、部門内のリソースを使うことができることです。短所としては、部門の経費、成績の評価手法により、短期的には活動が大きく制限されることがあたりすることでしょうか。

この「準備室型」と「スタッフ型」を両方設置して、推進を図っている会社もあります。

「いきなり事業部型」は、規模は小さいが、既存ビジネスの他の部門と同格に置き、推進していこうということ。長所は、判断が早くでき、リソースさえ十分に投入してもらえていれば、推進力があることです。短所は、会社の既存部門の協力、会社の強みを利用しにくいところです。

「分散設置型」は、全社での取り組み、フルラインナップで行くために、全部門内にEC担当を置き、全体の調整スタッフをおく形です。長所は、既存部門の協力を得やすかったり、会社の強みを利用しやすいところです。短所は、リソースが分散しているので、効率が悪かったり、ノウハウの蓄積がむつかし等です。

どの組織が立ち上がり期によいというかというと、会社によります。トップのコミット度、担当部門長の本気度、スタッフのスキル・数、新しいことへの受け入れ度合いの社風などが重要となってきます。

 

成長期

 

 

成長期の組織はというと、すでに「準備室型」はあり得ないとして、立ち上がりの「いきなり事業部型」が、育った「リソース集中型」や「分散設置型」となってきます。

この時期の「リソース集中型」の長所は、やはり判断が早くでき、リソースを使った推進力があることです。短所は、引き続き会社の既存部門の協力、会社の強みを利用しにくいところではないでしょうか。

右に「マトリクス型」というのも記載しています。各部門の中にECに必要な各機能担当者またはチームを置き。事業の部門長と各EC機能の横ぐしのリーダーの両方にリポートするということです。長所は、事業、機能の両方の意思がちゃんと反映され、リソースの効率化も図れること。短所は、本当はないはずですが、ECに限らず、マトリックス型の組織でうまくいっているところをあまり見たことがありません。リポートライン(上司)が二人いる、評価指標が二つあるというのは、運用がむつかしいようです。

立ち上がり期、成長期合わせて、どの組織がベストということは、どこの会社でもはっきりわかっていなく、組織改革を繰り返しながら、行ったり来たりしているところが多いようです。それぞれのステージ、社風などのよって、都度判断して、「個別」に組織、体制の設計、構築を行っていくことがよいと考えられます。

 

会社のよっては、ブランディング、既存ビジネス(店舗など)への集客のため、デジタルマーケティングチームを持っている場合もあります。全社のマーケティング部門の中にある場合、別組織の場合も。ECビジネスにもマーケティング、WEBマーケティングが必要です。本来は、これらは、リソースを一か所にして、まとめること、および、全体を管理していくことがよいのですが、ECを新規ビジネスと考える場合、また、成長のスピードに優先順位が置かれる場合は、EC部門の中に、マーケティング機能を独自の持たせ、全社のマーケティングと連携させていく場合も多いです。どちらのパターンにしても、利点も課題もあります。会社、リソース、成長のステージのよって、判断していくしかないと考えています。

 

まだ、正解のない分野ですので。人によって考え方がまちまちです。各担当者は、いったん決められた組織、役割に不満を日常的にいうのではなく、まずはその枠組みの中でベストを尽くし、その結果を評価し、上司とともに次の段階の組織に反映させていくことがよいでしょう。

 

EC部門における組織、役割分担

ECビジネスの業務の特徴

実店舗ビジネスでは、ビジネスの中心に、店舗があります、それと同様にECビジネスでは、インフラ、システムが中心にあります。すべての役割で、おそらく思った以上に、インフラ、システムへの依存が高いビジネスです。

初期のサイト構築、インフラ整備だけでなく、日々の活動、運用の中でも、コンテンツ制作者がシステム担当者とページ作成の仕様の確認をして表現できることとできないことを議論したり、MDの担当者がシステム担当者と商品登録の仕方や表示の工夫を話していたり、システム担当者に独自のツールを作ってもらい組み込んだりといったことが日常的にあります。マーケティング担当者もプロモーション実施のための仕組みについて、システム担当者や制作担当者と会話をします。新しいインターネット広告などを開始するために、システム担当者や制作担当者に外部システムの仕組みを説明し、サイトへの組み込みなどを依頼していくことなどです。もちろん、CSや物流担当者も日常的に話をしています。

歴史の浅いビジネスでもあることに加えて、このような状況だからこそ、既存の小売や通販に比べて、部門内での各役割が明確に分離されていない場合も多いといえます。

 


 

これらを意識しながら、組織を考えていくことが大事です。EC部門内のざっくりとした役割、チーム分けは下記のイメージです。

 

 


 

主にマーケティング、MD(マーチャンダイジング)、ささげ、商品登録、制作、カスタマーサービス(CS)、システム、物流などです。

 

これらの組織のために、最初から全部の役割にひとりづつ担当者が必要なわけではありませんし、すべて内部で行う必要もありません。立ち上がりは、部内には、兼務でも構わないので、部外・外注のリソースをコントロールできるリーダーまたは担当者を置き、外部または社内の他部署にアウトソーシングモデルから始め、知見ノウハウを取り込みながら、状況に合わせ必要な部分だけを少しずつ内製化していきます。

要は、立ち上り期はまず、ひととおりできる体制をつくり、そのあと、精度、生産性を高めていく、ということです。

このイメージの組織構成とは別に、システム、CS、物流以外は、EC部門の中の商品カテゴリーチームごとにMD、マーケティング、制作を持つ組織も多いです。この方が、それぞれの商品展開数を増やしたり、特定の集客、表現には、スピード感があったり、MD担当者の負荷が少なくできたりはします。しかし、リソースの効率化やサイトの全体観の統一、全体としてのノウハウの蓄積には限界があります。少し規模が大きくなると、いったんは図のようなファンクション別の組織編成になり、さらに大きくなると、再度、マトリクス型のような商品カテゴリー別になったりする場合もあります。ECビジネス内の組織も正解はなく、「個別に」設計していく必要があります。

 

 次回は、「やるべきこと」に関して記述していきます。

 

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